アンチエイジング医学(抗加齢医学)とは

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なぜ、今アンチエイジング(抗加齢)医学なのか?

日本人の平均寿命は、1945年のおよそ50歳から、30年後の1985年におよそ80歳へと延伸した。これは先進諸国の中で最も顕著であるが、背景には日本の医学の進歩、衛生環境の改善、医療の発達、栄養の改善などの要因が大きく影響している。平均寿命は伸び続け、女性は平均寿命90歳という時代ももうすぐだ。
更に100歳以上の人口が、右肩上がりで近年では毎年5000人以上増加している。まさに超高齢化時代に突入している。

2008年4月に始まった、後期高齢者医療制度(通称:長寿医療制度)に見られるように、現在高齢者の健康保持が国家的な課題となっており、アンチエイジング医学は社会の経済効率を考える面でも大変重要となってくる。

厚生労働省は、2009年9月2日、平成19年度(2007年度)に医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が前年度比3%増の34兆1360億円と過去最高になったと発表した。(国民医療費とは治療にあてた費用が対象で、健康診断や予防接種などは含まれない。)高齢化で5000億円程度増えたとし、1人あたりの国民医療費も3%増の26万7200円で過去最高となった。

国民医療費の65歳以上(人口比率20%)の比率は52%。国民所得に対する割合も9.11%と過去最高になった。厚生労働省は、今後も高齢化により毎年自然増だけで社会保障費が1兆円ずつ膨らむと見ている。社会保障費は来年度、約26兆円と一般歳出の半分に迫る。高齢化は今後加速度的進むことから、医療費の増大は図りしれない。

従来の日本の医療政策は、病気になったら国民皆保険がこれを守ります。という疾病治療型の政策である。しかし、国民医療費の増加は留まることを知らず、年1兆円の規模で拡大している。すなわち、病気になってから治していたのでは、費用もかかり過ぎ、このままでは健康保険制度は破錠することが確実である。少子高齢化により、公的医療保険負担が限界に近づいている現代において、高齢者の多くが健康であればその負担は現状の3分の2程度に抑えられるかもしれない。

そして、65歳が高齢者と呼ばれるような定義そのものが改定され、健康な65歳以上の層が厚くなれば、社会の第一線で活躍し、納税者層となる社会が来るかもしれない。この「かもしれない」ことを支えるのが「アンチエイジング医学」である。そして今、医師、医療従事者のコンサルテーションを通じて、自分自身の老化と寿命に対して予防・ケアをすることに、社会からのニーズが高まっている。

アンチエイジング医学は、”加齢”に焦点をあてた予防医学である。予防医学を考えるときに最も中心的な医学となる可能性を秘めている。

アンチエイジング(抗加齢)医学の実践

抗加齢医学(アンチエイジング医学)においては、これまでの医学と異なって、個々の病気や臓器単位の病的変化を回復させるためにぞれぞれ個別の治療手段を講じるのみではなく、縦割りの隔壁を取り除き、個々人を身体と精神の織りなす一体のものとして全体論的(ホリスティック:holisthic)に対策を考えていくということが重要となります。

抗加齢医学(アンチエイジング医学)の研究は遺伝子や細胞レベルから、動物やヒトの個体レベルまで幅広く、生化学、生理学、臨床医学などの医学系にとどまらず、化学、物理学、農学、薬学など広範囲にわたっています。

一方で、これらの研究を利用した抗加齢医学(アンチエイジング医学)の実践は、栄養学、内分泌学を用いた補充療法と運動や休養などの生活習慣の改善によって可能となります。